次に路面店やスケルトン、居抜き物件の考え方です。
まず路面店とは、店舗を1階に構えていることを言います。人が通る道沿いに店舗を構えるため、認知度はUPします。ここは路面店のメリットとして挙げられます

ただし勘違いしないでいただきたいのは、認知度がUPすることと集客がUPすることはイコールではないということです。

なので、大きな街の大きな通り沿いに店舗を出せば、直ぐに儲かると勘違いされている方が多いので、ここは注意が必要です。

また路面店は、通常の2階以上の同室仕様（主に大きさ）の賃料よりも1.5〜2倍程度高くなります。

…ということは、売上もその分あげなければならないということです。この点は、路面店のデメリットとなります。

飲食店の場合は、通り掛かりにある店舗に入るといったことがあるので、路面店で行うことが望ましいですが、ネイルサロンやエステサロン、美容室といった美容系サロンの場合は、通り掛かりでついつい入店といったことは殆どありませんので、特に路面店でないといけないということはありません。

2階以上の店舗の場合、路面店で掛かっていた賃料の分を集客対策の費用としてまわすことも可能なので、どちらかというと路面店じゃない方が集客メリットはあると感じます。

次にスケルトンです。スケルトンとは、一般的に店舗内の設備等がなく、まっさらな状態の物件のことをいいます。

スケルトンの場合は、何もない状態から店舗づくりを行いますので、自由度があり自分の希望したデザイン店舗を構築できるのがメリットとなります。

ただし、内装や設備が何もない状態から構築するので、費用はかなり嵩むことと、施工時間が長くなるので、工事のため賃料が余計に掛かるのがデメリットとなります。

基本的にスケルトンはお勧めしておりません。設備工事で一番費用が掛かるのが、空調やトイレなどの水周り関係です。店舗の大きさにもよりますが、小さめな店舗でも空調と水周り工事をすることで簡単に＋2〜300万円という金額はかかります。

その他にも空調が増やしたり造作扉等の設置などが入れば、また＋2〜300万円という金額がかかり、あれよあれよと設備資金が飛んでいきます。

そんなに大きい資金ホイホイ出せますでしょうか？

やはりここは最低でも、空調やトイレなどの水周り関係が設置してある物件を探し、スケルトンで掛かると予想されていた設備資金を、きちんとターゲット顧客に合った内装やサービスを準備して、きちんと売上が上がるシステムを構築したほうが良いとは思います。

最後に居抜きです。居抜きとは、前のテナントが使用していた造作家具や設備、什器等の内装設備関係が残っている物件のことをいいます。

前のテナントオーナーなどとの話し合いが必要ですが、造作家具や設備、什器等をそのまま引き継ぐことができ、内外装工事費を大幅に減額することができることがメリットとして挙げられます。

しかし、使用できると思っていた造作家具や設備、什器等が使用できず、結局のところ、解体や廃棄、新たに設備を設置する費用が掛かり、予想以上に費用がかかるといったケースも少なくないことと、そもそも自分の気に入ったデザインの物件が出てくることは少ないことが居抜きのデメリットとなります。

居抜き物件では、『どうしてお店を手放すことになったのか』といった理由がきちんと分析でき、造作家具や設備、什器等がきちんと稼動し、そして店舗デザインへのこだわりが強くない方には、お勧めします。さすがにここまで条件が揃うことは少ないと思いますが。

どの物件も選択したとしても一長一短となります。そう簡単に掘出し物件などはお目にかかれません。

もちろん、初期の設備費用の圧縮ばかりに気を取られたり、また効率ばかり求めることで、ターゲット顧客を意識した物件選びが疎かになるのでは？という気持ちも分からなくはありませんが、物件の場所や物件にかける費用などは、来店するお客様には全く関係のないことで、そういうことを意識してお客様は来店しません。

サロンはお客様が来店してはじめて経営が成り立ちます。最初に作ったお客様目線での事業計画書の内容に立ち返り、コンセプトやターゲットを意識した条件に照らし合わせて物件を探すようにしたいところです。